当校の教育

いじめ防止基本方針

2014年6月19日

いじめ防止基本方針

北星学園大学附属高等学校

Ⅰ いじめ防止に関する考え方

■基本理念

いじめは、その子どもの将来にわたって内面を深く傷つけるものであり、子どもの健全な成長に影響を及ぼす、まさに人権に関わる重大な問題である。全教職員が、いじめはもちろん、いじめをはやし立てたり、傍観したりする行為も絶対に許さない姿勢で、どんな些細なことでも必ず親身になって相談に応じることが大切である。そのことが、いじめ事象の発生・深刻化を防ぎ、いじめを許さない生徒の意識を育成することになる。

そのためには、学校としてあらゆる教育活動において生命や人権を大切にする精神を貫くことや、教職員自身が、生徒を一人ひとり多様な個性を持つかけがえのない存在として尊重し、生徒の人格のすこやかな発達を支援するという生徒観、指導観に立ち指導を徹底することが重要となる。

本校は聖書を土台とするキリスト教主義学校として、心や人格を育む教育を大切にしながら半世紀以上の歴史を進めてきた。その揺るぎない歩みの中で「キリスト教の精神に根ざし、他者と共に生きる」ことを教育目標とし、「自立した市民としての人格形成」をめざしている。

この考えに立脚し、ここに北星学園大学附属高等学校いじめ防止基本方針を定める。

■いじめの定義

「いじめ」とは、生徒等に対して、当該生徒等が在籍する学校に在籍している等当該生徒等と一定の人的関係にある他の生徒等が行う心理的または物理的な影響を与える行為(インターネットを通じて行われるものを含む。)であって、当該行為の対象となった生徒等が心身の苦痛を感じているものをいう。

具体的ないじめの様態は、以下のようなものがある。

・冷やかしやからかい、悪口や脅し文句、嫌なことを言われる

・仲間はずれ、集団による無視をされる

・遊ぶふりをして叩かれたり、蹴られたりする

・金品をたかられる

・金品を隠されたり、盗まれたり、壊されたり、捨てられたりする

・嫌なことや恥ずかしいこと、危険なことをされたり、させられたりする

・パソコンや携帯電話等で、誹謗中傷や嫌なことをされる 等

■いじめ防止のための組織

 (1) 名称:いじめ対策委員会(実態に応じて生活指導部会が対応することもある)

 (2) 委員構成:教頭(教育相談委員会担当)、各学年主任、養護教諭、生活指導部長

(なお学校外からスクールカウンセラーを加える。また必要に応じて臨機応変に校長を加えることもある。)

議事進行は担当教頭が行う。

 (3) 役割

学校いじめ防止基本方針の策定

いじめの相談・通報の窓口

相談窓口は全教員及びスクールカウンセラーとし、生徒が相談しやすい教員等に相談できることとする。

 (4) 取組の把握・検証

いじめ対策委員会は、定期的に開催される学年会議において問題が発生したときに会議を持つこととし、必要に応じて、学校の最高議決機関である職員会議で審議する。

また、必要に応じて基本方針の見直しなども行う。

 

Ⅱ いじめ防止

■基本的な考え方

いじめの未然防止にあたっては、教育・学習の場である学校・学級自体に豊かな人権尊重の意識が醸成され、人権尊重の精神がみなぎっている環境であることが求められる。そのことを基盤として、人権に関する知的理解及び人権感覚を育む学習活動を週の初めに行う礼拝を中心に、各教科、特別活動の時間でそれぞれの特性に応じ、総合的に推進する必要がある。 

特に、生徒が、他者の痛みや感情を共感的に受容するための想像力や感受性を身につけ、対等で豊かな人間関係を築くための具体的なプログラムを作成する必要がある。そして、その取組みの中で、当事者同士が信頼に基づく間関係づくりや人権を尊重した集団としての質を高めていくことが必要である。

■いじめの防止のための措置

いじめに向かわない態度・能力を育成するために、自他の存在を認め合い、尊重し合える態度を養うことや、生徒が円滑に他者とコミュニケーションを図る能力を育てることが必要である。

いじめ防止を含む人権教育はあらゆる教育活動において行われるべきで、そのことが、いじめの防止につながるという視点をもって日々の教育活動に携わる。そのために、できるだけ多く他者とのコミュニケーションの機会を与える。いじめが生まれる背景を踏まえ、指導上の注意としては、教職員が豊かな人権感覚を持って生徒一人ひとり多様な個性を持つかけがえのない存在として大切にする視点から指導にあたるとともに、いじめは絶対に許さないという毅然とした態度を示す必要がある。

生徒一人ひとりが活躍できる集団づくりを進めるために集団の中ですべての生徒が役割を担うことができるように教職員は配慮し、どの生徒も集団への所属意識と協働作業を通じての達成感を共有できるようにする。ストレスに適切に対処できる力を育むために、自尊感情を高め、互いを認め合える人間関係を築いていくことが大切である。

いじめを助長するような教職員の不適切な認識や言動等、指導の在り方に注意を払うため、生徒への声かけが自尊感情を傷つけていないか、集団の中で浮いた存在にしていないか等を、教職員が互いに意見を言い合えることが大切である。

また、自己有用感や自己肯定感を育む取組みとして、授業や行事において、生徒を認める声かけを多くしていくことが大切である。そのためには、生徒一人ひとりの様子をしっかりと観察し、声かけのタイミングを見逃さないようにすることである。

 

Ⅲ 早期発見

■基本的な考え方

いじめの特性として、いじめにあっている生徒がいじめを認めることを恥ずかしいと考え、いじめの拡大を恐れるあまり訴えることができないことが多い。また、自分の思いをうまく伝えたり、訴えたりすることが難しい状況にある生徒が、いじめにあっている場合は、隠匿性が高くなり、いじめが長期化、深刻化することがある。

それゆえ、教職員には、何気ない言動の中に心の訴えを感じ取る鋭い感性、隠れているいじめの構図に気づく深い洞察力、よりよい集団にしていこうとする熱い行動力が求められている。

生徒が示す小さな変化や危険信号を見逃さないために、休み時間や昼休み、放課後の雑談等の機会に、生徒の様子に目を配る。生徒と共に過ごす機会を積極的に設けることが大切である。担任や教科担当が互いに気になる状況があれば、些細なことでも必ず情報交換し、生徒への理解を共有することも大切である。

■いじめの早期発見のための措置

(1)実態把握の方法

実態把握の方法として、二者面談や三者面談がある。日常の観察として、学級内にどのようなグループがあり、そのグループ内の人間関係がどうであるかという点に気をつけて観察していく。また、遊びやふざけのようにも見えるものの気になる行為があった等の情報を教職員間で共有していくことも大切である。

(2)保護者との連携

日頃から生徒の良いところや気になるところ等、学校での様子について、保護者会や三者面談等を通して保護者に連絡しておくことが必要である。

(3)抵抗なく相談できる体制のために

生徒、その保護者、教職員が、抵抗なくいじめに関して相談できる体制として、日頃からの声かけ等により、良好な人間関係を築いておくことが大切である。また、些細な情報であってもきちんと対応し、担任だけでなく、学年集団として共有することも大切である。

(4)保護者会での周知

保護者会等で、「何かあれば担任に気軽に相談してください。」「担任に相談しづらい場合には、学年主任、教頭、校長またはスクールカウンセラーなどに気軽に相談してください。」などの声かけを繰り返すことで、相談体制を広く周知する。

■個人情報の保護

いじめ相談等で得た生徒等の個人情報については、個人情報保護法に沿って適切に管理する。

 

 

Ⅳ いじめに対する措置

■基本的な考え方

いじめにあった生徒のケアが最も重要であるのは当然であるが、いじめ行為に及んだ生徒の原因・背景を把握し指導に当たることが再発防止に大切なことである。近年の事象を見るとき、いじめた生徒自身が深刻な課題を有している場合が多く、相手の痛みを感じたり、行為の悪質さを自覚したりすることが困難な状況にある場合がある。よって、いじめた当事者が自分の行為の重大さを認識し、心から悔い、相手に謝罪する気持ちに至るような継続的な指導が必要である。いじめを受けた当事者は、仲間からの励ましや教職員や保護者等の支援、そして何より相手の自己変革する姿に、人間的信頼回復のきっかけをつかむことができると考える。

そのような、事象に関係した生徒同士が、豊かな人間関係の再構築をする営みを通じて、事象の教訓化を行い教育課題へと高めることが大切である。

■いじめの発見・通報を受けたときの対応

いじめの疑いがある場合、些細な兆候であっても、いじめの疑いのある行為には、迅速な対応をする。遊びや悪ふざけなど、いじめと疑われる行為を発見した場合、その場でその行為を止めることは当然ながら、生徒や保護者から「いじめではないか」との相談や訴えがあった場合には、真摯に傾聴する。その際、いじめられた生徒やいじめを知らせてきた生徒の安全を確保するよう配慮する。

教職員は一人で抱え込まず、速やかに学年主任や分掌長等に報告し、いじめの防止等の対策のための組織と情報を共有する。その後は、当該組織が中心となって、速やかに関係生徒から事情を聴き取るなどして、いじめの事実の有無の確認を行う。

事実確認の結果、いじめが確認された場合、教頭が校長に報告し、状況に応じて、理事長、北海道総務部学事課等の関係機関と相談する。

被害・加害の保護者への連絡については、家庭訪問等により直接会って、より丁寧に行う。

いじめが犯罪行為として取り扱われるべきものと認められるときは、いじめられている生徒を徹底して守り通すという観点から、札幌方面中央警察署と相談することも視野に入れる。

■いじめられた生徒またはその保護者への支援

いじめた生徒を別室指導や家庭謹慎とすることにより、いじめられた生徒が落ち着いて教育を受けられる環境を確保し、いじめられた生徒に寄り添い支える体制をつくる。その際、いじめられた生徒にとって信頼できる人(親しい友人や教職員、家族、地域の人等)と連携し、いじめ対策委員会が中心となって対応する。状況に応じて、スクールカウンセラーの協力も得る。

■いじめた生徒への指導またはその保護者への助言

速やかにいじめを止めさせた上で、いじめたとされる生徒からも事実確認の聴取を行う。またいじめに関わったとされる生徒からの聴取にあたっては、個別に行うなどの配慮をする。事実関係を聴取した後は、迅速にいじめた生徒の保護者と連携し、協力を求めるとともに、継続的な助言を行う。

いじめた生徒への指導にあたっては、いじめは人格を傷つけ、生命、身体または財産を脅かす行為であることを理解させ、自らの行為の責任を自覚させる。なお、いじめた生徒が抱える問題など、いじめの背景にも目を向け、当該生徒の安心・安全、健全な人格の発達に配慮する。その指導にあたり、学校は、複数の教職員が連携し、必要に応じてスクールカウンセラーの協力を得て、組織的に、いじめをやめさせ、その再発を防止する措置をとる。

■いじめが起きた集団への働きかけ

いじめを見ていたり、同調していたりした生徒に対しても、自分の問題として捉えさせる。また、同調していたりはやし立てたりしていた「観衆」、見て見ぬふりをしていた「傍観者」として行動していた生徒に対しても、そうした行為がいじめを受けている生徒にとっては、いじめによる苦痛だけでなく、孤独感、・孤立感を強める存在であることを理解させるようにする。

いじめが認知された際、被害・加害の生徒たちだけの問題とせず、学校の課題として解決を図る。全ての生徒が、互いを尊重し、認め合う集団づくりを進めるため、担任が中心となって生徒一人ひとりの大切さを自覚して学級経営するとともに、すべての教職員が支援し、生徒が他者と関わる中で、自らの良さを発揮しながら学校生活を安心して過ごせるよう努める。その後も生徒が人間関係づくりを学ぶ機会として、体育大会や学校祭などの行事を位置づけ、意見が異なる他者とも良好な人間関係を作っていくことができるよう適切に支援する。

■ネット上のいじめへの対応

ネット上の不適切な書き込み等があった場合、まず学校として、問題の箇所を確認し、その箇所を印刷・保存するとともに、生活指導部やいじめ対策委員会において対応を協議し、関係生徒からの聞き取り等の調査、生徒が被害にあった場合のケア等必要な措置を講ずる。

書き込みへの対応については、削除要請等、被害にあった生徒の意向を尊重するとともに、当該生徒・保護者の精神的ケアに努める。また、書き込みの削除や書き込んだ者への対応については、関係部署と連携しつつすすめる。

■重大事態への対応

(1)重大事態とは

生徒の生命、心身または財産に重大な被害が生じた疑いがある

・生徒が自殺を企図した場合

・精神性の疾患を発症した場合

・身体に重大な障害を負った場合

・高額の金品を奪い取られた場合

(2)生徒が相当の期間学校を欠席することを余儀なくされている

・年間の欠席が30日程度以上の場合

・連続した欠席の場合は、状況により判断する

生徒や保護者からいじめられて重大事態に至ったという申立てがあったときは,重大事態とみなす。

■重大事態時の報告・調査協力

学校が重大事態と判断した場合、必要に応じて関係部署と対応を協議し、北海道知事及び理事長に報告する。理事長が重大事態調査の主体を本校とした場合は、校長を長とする対策委員会を発足する。理事長が調査の主体を理事会に設置する場合は、理事長の指示のもと、資料の提出など調査に協力する。調査にあたってはいじめを受けた生徒及び保護者へ十分な情報提供を行う。また調査結果に基づき、再発防止策を作成し、調査結果とともに北海道知事に報告する。

2020年7月8日 改定

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